♪美しき声のお話

♪美しき声のお話

園長: すぎもと かずひさ

 尾辻秀久氏(現参議院議員)青春時代の冒険の著『旅また人生』の一節にアフリカザイール暮らすピグミー族との触れ合いを綴った次のような文がある。

『森の中で生活している彼らは信じられないほど遠くから話をする。うら声で呼びあうのである。それは小鳥の声じゃないかと思うほど美しい。いつも大きな火種を持って歩く。森の中を歩きまわるとき、それはときとして懐中電灯であったり、動物から身を守るものであったりするのだろう。夜、狩りから帰ってくる男たちと村の女たちの呼びあう美しい声がやがて近くなり、森の中から火種がユラユラゆれて出て来るさまは「自然はこんなに美しいものか」改めて教えてくれる。やがて村の広場で母親に連れられて子供たちが歌い踊り出す。ピグミーは歌と踊りの天才だともいわれている。ピグミーは地球最後の「自然の子」なのかもしれない。』 

子どもたちは自然に近い。言葉の抑揚はうたと同じであろう。うたの始まりは、人の鳴き声であり、遠吠えであったことだろう。自分の中の自然を覚醒させながら、語りかけひとつも美しくありたいものだ。声ひとつにも心が宿る。

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