♪愛の景色のお話
園長: すぎもと かずひさ
写真を整理する。感動に出くわす。一枚の写真にあふれる子どもの笑顔、親の愛情、保育者の情熱。そのまばゆさに感動がこみあげてくる。
燦々たる自然の中でダイナミックに繰り広げられる表現活動。陽光にきらめく葉っぱを蓄えた木と木の間には、子どもの背丈に、ほどよく木綿の布が張りめぐらされている。この布に子どもたちは色をつけ、描いていく。手で塗るのではない、のびやかに全身で描くからの線が踊る。こころの解放感を映し出すように、布をはみ出すのも委細かまわず大きな刷毛で色をぬたくる。何人もの子どもたちが幾重にも線を重ね、色を重ねていく。布はいっそうの輝きを増し、風になびいている。汚れた服はよろこびの色だ。
活動後の心地良い疲労を癒すのは、手作りのお弁当。お弁当日は、「昼間離れているからこそ、お弁当で愛情を」との親の願いから始まった。子どもたちが顔をほころばせながらほおばっているようすをみるにつけ、まさに、由来通りに目的を適えていることがわかる。絆はこのような営みを通じて育まれていく。
子育ては、言葉や理屈のやりとりではなく、行動を中心とした営みである。子どもは、何よりも行動を理解する。ともに汗かく人を好きになる。緑豊かな陽だまりのなか、出来上がった自分たちの作品のそばで、子どもたちはなんともしあわせそうな顔でお弁当を食べている。 愛の景色にあらためて感動する。