♪見えないものを形にするのお話

♪見えないものを形にするのお話

園長: すぎもと かずひさ

「握る」ことの大切さから木の温か味は好きだけれど鉄製運動遊具を導入する。形がリアルすぎるおもちゃは子どもたちが自分でイメージする余地に乏しいので状況に応じて用いる。表現力を豊かにするために即興的に歌をうたったり紙や粘土、木片などさまざまに工夫することの出来る素材を用意したりする。いろいろな言葉をつくる面白さを味わうために言葉あそびや発声ごっこをする。順番や協同の体験を促進させるために意図的に物の数を人数より少なくしたり一人ではできないお手伝いを指示したりする。栽培した野菜の成長を通じて長短・重軽・数量の認知を促し、科学する面白さを味わうために、使い方を工夫すればものをはかることの出来るひもや棒、バケツを子どもの気づく場所に置く。子どもに考える機会を与え、主体性を育むためにわざと大人がわからないふりをする。日常におけるこんな大人たちの配慮が子どもたちにとって格好の学びの機会になる。

 「子育てや人生において優しさや思いやりなど見えないものこそを大切にしょう!!」かつてはこのような言葉を聞いただけで感動し、なんとなくわかったような気になっている自分がいた。しかし、抽象的表現に彩られた美しげな言葉をいざ実践に移そうと思うとどのようにすればよいのかよくわかっていないことに気づかされることも多かった。生活が便利になった現代だからこそ願う生活の知恵の復活。見えないものを形にし、具現化する力である。

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