♪「探検に出かけよう」のおはなし
園長: すぎもと かずひさ
わたしの歩幅で7000歩、その距離約5.6km。今年度第1回のふるさと探検隊で年長児ゆりぐみさんが歩いた距離である。探検隊の目的は自分たちが暮らしているふるさとの野山や町並みを探検して、新たな感動と発見に出会うことである。でも、でも、で~もである。どちらかといえばこれまでは探検の副産物であった子どもたちの体力・健康の増進にこそ真剣に眼を向けねばならない時代になってきた。外あそびの減少による運動・活動の経験不足から小学生になってもまっすぐに走れない、10㎝の段差が飛び降りられない、転んでも手が出ないので顔面を強打する、手を出すと手のつき方が不器用なので手首を骨折するなど、子どもたちの運動能力の低下による問題がますます深刻化しているからだ。
外界に興味を持ち始めた子どもは、本来、よほど周りの大人たちから制限されないかぎり、動き回るのが自然である。その運動能力の低下が顕著だというのであるから、経験不足の子どもたちは半ば習慣化するほどの長期にわたって活動を制限され、その機会を奪われているに違いない。主な原因としては、子どもを対象にした凶悪犯罪の増加による親の不安やテレビゲームの流行による外あそびの減少が挙げられている。車社会や親のライフスタイルが与える影響も少なくないであろう。
新緑のトンネルを探検隊は行く。路地裏をくねくね歩く。宇治川の鳩やトビケラが疾走を誘う。平等院鳳凰堂を一目見るために堤防を走る。屋台のおじさんにちょっかい出しては叱られる。清涼飲料水の自動販売機にいたっては、ボトルの取り出し口やおつりの返却口のおしゃべりが止まらない。「もう、疲れた~」「ジュース買ってぇ~」と隊員たちがおねだりしてくる。まだ、早い、もう少し行けばジュースより美味しいお茶が、ふるさとの味が待っているぞ。この味わいも発見だ。さあ、探検に出かけよう。