「こどもの自立を応援するこども中心の関わりへ 」のお話
園長: すぎもと かずひさ
どんなに小さい赤ちゃんであってもこども自らが主体的・能動的に関わっていくところに「教育」の契機があるといわれています。こどもの能力や可能性を導き出すには、まわりの大人が「こどもが自ら考え自ら行動する」ように、いかに関わり、いかに見守るかがポイントです。 新年にあたり、保育園におけるこどもの関わりのポイントを紹介します。
ポイントその①「こどもの興味や好奇心につきあおう」
赤ちゃんは周りのもの(物体)を生きもののように感受しています。ハイハイで移動できるようになってくると、全身を使って興味あるものに向かっていきます。いま、こどもは何を感じているでしょうか?目や耳や五感を総動員して感受している世界を同じように味わいましょう。こどもならではの、「頭ではなく体と心が一体となった思考や行動」につきあい、こどもが自ら動き出すまで待つことがポイントです。関わりすぎるとこどもの興味はその人に向いてしまいます。自ら動こうとする機会を奪ってしまうこともありますので留意しましょう。
ポイントその②「こどもの思いに共感し、受けとめよう」
言葉を十分に身につけていないこどもは、泣きや表情、行動等々、全身で自分の感情や思いを表現します。ポイント①での見守りや待つことが出来てくると、こどもが何を感じ何を要求しているのかが、みえてくることでしょう。ここでは、その内容を言葉にします。「おなか減ったね」「これ欲しいね」等々、抱っこや愛撫などの動作と共に、こどもの気持ちを代弁する語りかけを交えてゆきます。こどものご機嫌な感じや「うん!」という言葉が返ってきたら、共感できた証拠です。「こどもの気」と「おとなの気」が通い合う、気の合う関係をどんどん楽しみましょう。
ポイントその③「こどもに選択や決定を委ねよう」「こどもに問題の解決を託そう」
おとなに言われると嫌なことも、自分で決めたことは意外に実行するこどもたち。結果にこだわらず、こども自身が考える機会を増やすことがポイントです。こどもは、上手くいってもいかなくても自業自得や自己責任について学びます。また、自分の思い通りにならないことの多い社会生活では、他者との間で、または、自分自身の心の中で迷い、葛藤し、答えや解決策を導きだすことが必須です。この体験を通してこどもは、複雑な心情を学び、同じ体験をした者同士が心を通い合わせ、思いやりの気持ちを育んでゆきます。あそびの内容、出かける行き先、献立の中身などわずかな事柄からこどもに選択・決定を委ねましょう。ポイントはおとなの目から見て失敗と映っても注意せず、つぎにどうすればよいか一緒に考え、ときに示唆を与え、こどもの試行錯誤を応援するようにしましょう。強い否定はこどもの勇気を奪い、行動を消極的にしてしまいます。社会をたくましく、しなやかに生きてゆくための力を育みましょう。
ポイントその④「こどもに段取り、計画を委ね、実行を任せよう」
便利な時代になって、こどもが先を見通して計画したりものごとの段取りをしたりする機会が減少しています。時間を有効に使うこと、あらかじめ必要なものやことをイメージし、準備を整えることは、ひとつのことを成し遂げるにもさまざまなものやことが必要であることを教えてくれます。時間的制約から要領の良さを学び、時間的展望をもって計画を立てる。生活の知恵を育むとともに、ものの成り立ちを理解し、感謝を育むプロセスといえるでしょう。
ポイントその⑤「こどもへ教えたいこと、伝えたい願いは、自らが実行し憧れモデルとなろう」
おとなはこどもと共に歩み、考える頼りがいのある存在としてこどもの育ちを応援します。知識や技能は単に言葉で伝えるだけでなく、自らが実行し、こどもの憧れモデルを目指します。おとなであってもできないことはたくさんありますが、望む未来を目指して試行錯誤し、挑戦している姿はこどもに身につけて欲しいスタイルであり、そのスタイルに憧れをもつこどもが育まれることでしょう。
こども中心の関わりから、こどもとおとなが共に育つ新年に!みなさんと共に感謝の始まりです!!