『こどものいのちは めが いのち』のお話
園長: すぎもと かずひさ
あの原発事故以来、戸外で遊ぶということは日本の子どもたちにとって当たり前のことではなくなった。地球に降り立ったばかりの子どもたち。その健やかな成長は万人の願いである。いいことばかりではない人生において、それでもなお自然と人間の素晴らしさについて紹介していきたいと思う。このような時代において、わたしたちはどのように生き、どんな未来を紡いでいくべきなのか。 「こどものいのちは めが いのち」今年の運動会のテーマである。子どもは小さい。まるで新芽のような存在である。芽は目に通ずる。子どもの元気は目の輝きに表れる。健やかな成長には、土壌、水、空気、光などの周りの環境とともに、目をかけ、手をかけ、心をかけ、愛情をいっぱいに注ぐ周りの存在が必須である。大きく育ってくるとうれしい。その過程に関わった人々の一挙一動が学びの機会であり、共の成長が恵まれる。目はEYE=愛である。愛はいのちをつなぐ。仲間同士の育み合いの中でますます大きく育つ。このようにして、小さないのちはどこまでも偉大な存在=メガいのち、として成長するのである。
子どもたちは土あそびが大好きだ。土は年齢・発達等によるあそび方を問わない。誰しもあそびに参加・乗り入れしやすく人間関係を醸成するに相応しい包括的なあそびの土壌である。また、粒子の大きさや水分の調整により、幾通りもの感触の違い、色、粘度、硬度等の変化を楽しめ、使い分けができる。即ち、汎用性・発展性が高く、子どもの自由な発想、想像、創造力を助長するのに適している。さらに、子どもたちの大好きなアリ、ダンゴ虫、花や野菜等の生き物を蓄え、いのちのプロセスとその学習素材としてこの上ない。園が「春は土」として期のテーマを設定している所以である。
「種まき」「苗植え」「泥んこあそび」「泥だんごづくり」等々、「土」の恩恵を享受しながら、どれだけの保育活動を行ってきたことであろう。日々の感謝と子どもたちの健やかな成長への願いを込めて、三つの園がそれぞれに最も身近な保育環境をモチーフにして運動会を企画した。Hana花は花壇、みんなのきはお山、三室戸は畑、いずれも子どもたちが毎日のように遊ぶ大好きな場所である。そのこころは「いのちと土のつながり」である。小さな子どもたちを真ん中に大きないのちを感じる。めが いのち。