『夢の広場と勿体ない楽団』のお話
園長: すぎもと かずひさ
身体中に音楽が鳴り響いています。「夢の広場」の方から・・・。「夢の広場」にはさまざまな人やものが一人、二人・・・、一つ、二つ・・・と、集まってきます。
「夢の広場」のそもそもは今から30年ほど前のこと。子ども大好きな保護者さんのタクトによって始まりました。当初から、手づくり色豊かに「段ボール迷路」「プラスチック板ペンダント」などのコーナーが用意され多くの子どもと大人の笑顔を生んできました。一方で、準備に手間がかかることもあり、「ヨーヨー釣り」「スーパーボールすくい」など、日常の保育内容との間で微妙な違和感を生じさせているコーナーもあったのですが、「いのちを大切にする」「自然素材を生かして、自らつくる」という理想のもと、日常保育のコンセプトと合致した内容へと、少しずつ改善を加え、今日に至っています。では、改善を加えてきたあそびコーナーを二つ紹介します。
①「押し花」コーナー・・・宇治市植物公園の押し花展でご活躍の先生方、職員のお母さんとの出会い、ご指導により始まりました(園にもご指導いただいた先生の作品を飾っています)。花は正職員・非常勤職員が協力して世話をし、園の四季を飾ったり、近頃は草木染めの素材に活用したりしながら保育に彩を与えてくれています。夢の広場では、その中から職員が押し花用に手間をかけ作りためたものを用意しています。
②「木の実・葉・枝でつくる制作」コーナー・・・素材の調達は、日常保育での併用を考慮して、森や林の散策がてら拾い集めたり、「あの場所にクヌギのどんぐりがいっぱい。」などの情報を入手するとかけつけたりしながら、少しずつ集めていきます。そんな様子を見て、保護者さんや関係者の方々がお持ちくださるものもたくさんあります。日常保育の中では、その素材の一つ一つが子どもたちにとっての宝物。贅沢な制作あそびです。
さてさて、冒頭の音楽の主は「夢の広場」に集まった「勿体ない楽団」のメンバーによるものです。ほんの一日の取り組みですが、どれだけたくさんの人の労力、いっぱいの時間がかけられていたでしょう。その一人一人が、一つ一つが、「勿体ない楽団」のメンバーです。有り難い一つのご縁にさえ無限の情景があります。幾層もの言葉が、固有の波動がいのちの賛歌となって集っている。主役の子どもたちは石や砂、草や花、さまざまな身近なものを宝物にする天才です。身近な人を本能的に愛する天才です。「夢の広場」の本質です。