『笑顔と声のイルミネーション』のお話
園長: すぎもと かずひさ
ザッスッザッ・・・。
わたしの身体に住みついている子どもの躍動と脈動がずんずん鳴って野山を廻る。
何て出会いだろう、「一片の落ち葉」と子どもとの出会い。
息と心を弾ませながら、駆け寄ったかと思うと、葉っぱはもう手のなかでひらひら可愛い眼と遊んでいる。
木漏れ日に紅葉の地面。光と音が織り成す世界がどこまでも子どもの夢を綴ってゆく。
大吉山に興聖寺、自衛隊宇治駐屯地、黄檗公園、子どもの楽しい足音が集めてきた数々のどんぐりや木の葉、小枝たちが、今、保育園中を賑わしている。
出会いの感動を越えて、子どもの生活空間にまで自然の恵みが生きている。
木の葉で飾った段ボールの家で遊ぶ0歳児さん。
木の葉をさんまに見立ててままごとを楽しむ1歳児さん。
見つけ拾った木の実を互いに見せ合いっこする2歳児さん。
散歩で袋一杯集めた木の葉や木の実を部屋に飾り、さらに創意工夫を加え自分の願いをプレゼントやマスコット、アクセサリー等々に仕上げては、種々のあそびに活用する3歳以上児さん。
大自然の中では極めて小さい存在であるわたしたち。
子どもと子ども、子どもと大人、大人と大人、さまざまな人と人との縁を結ぶ「一片の落ち葉」であったことを思う。
森の中で遊ぶ。
木の下の落ち葉を掃除する。
自然の中に溶け込んでいるのではなく、自然のお蔭で人と人とが結ばれている。
このようなご縁をいただいて、3歳児さんになるとクリスマス・ツリーを自分たちでつくる計画がある。
常緑樹の緑がクリスマスカラーのひとつであり「永遠のいのち」を指すように、子どもの元気は人類にとって「永遠のいのち」そのものである。
一人一人の子どもがうれしいこと、楽しいことに着眼し、喜びの体験を語り、仲間と分かち合う。散歩やあそびで集め遣い込んできたお気に入りの木の枝を仲間といっしょに生けていく。
人のいのちに限りはあるけれど、「喜びの気」を集めて人類という太い樹木に永遠のいのちを吹き込みクリスマス・ツリーにしようというプロジェクトである。
はじめて取り組む3歳児さん、昨年からの木をさらに大きく育てる4歳児さん、一昨年から3年がかりのツリーづくりがうれしい年長児さん。
そのそばで「いい気」をたっぷり浴びる0、1、2歳児さんとわたしたち。
日暮れの早い師走の夜に子どもらのイルミネーションが光る。
光の周りに子らの笑顔と声がある。
いつまでもこの素晴らしい世界がありますように。