『原点たる保育園』のお話

『原点たる保育園』のお話

園長: すぎもと かずひさ

平成26年12月の中央教育審議会・初等中等教育分科会・教育課程部会の資料によると、『①今の子供たちやこれから誕生する子供たちが、成人して社会で活躍する頃、生産年齢人口の減少、グローバル化の進展、絶え間ない技術革新、社会構造や雇用環境の変化等により、我が国は、厳しい挑戦の時代を迎えること。

②それらを乗り越え、未来を切り開いていく力を身に付けていくために、一人一人の多様性を原動力とし、新たな価値を生み出していき、伝統や文化に立脚し、高い志や意欲を持つ自立した人間として、他者と協働しながら価値の創造に挑む必要のあること。

③それに伴い、教育の在り方も、個々人の潜在的な力を最大限に引き出し、一人一人が互いを認め合い、尊重し合いながら自己実現を図ることで幸福な人生とより良い社会の実現に導く教育課程の新たな在り方を構築していく必要があること。』と示されている。資料から抽出したキーワード「一人一人の多様性と潜在力の活用」「相互尊重のもとの協働と自己実現・平和社会の実現を図る新たな価値の創造」を念頭に保育を振り返る。困難な時代を乗り越えるヒントを見つける。

一つは、「養護」をベースに置き「著しい個人差」を特性とする乳幼児期の子どもたちにふさわしい方法論の構築と環境づくりに努めている点である。

「養護」をベースに置くとは、子どもに「安心を宿らせる」こと。安心がないと子どもは遊ばない、学ばない、動かない。貧困や虐待さらに子どもが不安に陥る現実が増加する中、一人一人の個性や生活背景、その時々の状況に応じて丁寧に見守る環境やしくみが小学校以降も継続され、子どもが生き生きと活動できる土台をつくることである。

一つは、「集団生活」をベースに置き「子どもの主体性」の尊重と「環境を通して行う保育」という学びの方法論が根付いている点である。

「集団生活」をベースに置くとは、課題の発見・解決に向けて主体的・協働的に学ぶスタイルを学習以前の日常生活から体験するということである。生活が学びをつなぎ、子どものライフスタイルとして定着する。また、「環境を通して行う保育」とは、「自ら」「学ぶ」ことである。子どもがそれぞれの興味・関心に基づき学び、成果を教え合い、分かち合うスタイルはその学びのプロセスにおいて、多様性を活かした共同体の新たな価値を見出すに違いない。

あなたとわたし。人間の回帰を思う。いつの時代においても子どもの安心の郷、幸せな人生の原点たる保育園でありたい。

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