『 いのちを大切にする一期一会の喜び 』のお話
園長: すぎもと かずひさ
保育園では、「生涯を通して持ち続けることのできる安心を一人一人の子どもに宿らせること」を「生きるために必要な基礎的な力を育む」土台と考え、最も大切な保育目標として掲げています。
初めての保育園。知らない場所へ連れて来られるのですから、子どもが不安を覚えることはごく自然なことです。親子関係が育っているので人見知りもします。そこで、わたしたちは不安な期間ができる限り短くなるよう、「怖くないよ。わたしは優しいよ、楽しいこといっぱいしよう。あなたが大好きだからいっしょに面白いことして遊ぼうね。」といったポジティブなメッセージを言葉や身振り手振り、スキンシップ、さらに日々の保育活動を通じて送り続けます。
「いのちを大切にすること」。これは弊法人の理念であり、保育実践の中心を成しています。では、どのような保育実践を指すのでしょうか。
「睡眠からの目覚めの関わり」を例にお話します。目覚めのとき、子どもは身近な人を探すように辺りを眺めます。実際に子どもの立場になって感じてみましょう。身近な人が傍にいて言葉かけや笑顔のある目覚めと誰もいない、または居ても関わりのない目覚めとの比較です。
目覚めの瞬間が子どもにとっていかに大切かお分かりになったことと思います。睡眠のたびに質の良いぬくもりに満ちた目覚めのある日常と目覚めるたびに不安に駆られる日常。明らかに前者が「いのちを大切にする」保育実践であり、わたしたちが目指し、心がけている保育実践になります。質の良い眠りと目覚めの習慣が時を経て子ども心に安心を宿らせていく。さらに、子どもの睡眠を丁寧に見守ることは乳児突然死症候群等の睡眠時の病気・事故の予防にもつながります。
つぎに大切なことは保護者のみなさんとわたしたちとの人間関係です。大好きな親御さんとわたしたちが仲のいいことは子どもにとってうれしいことです。チャンスは、送り迎えのときです。子どもの眼の前で親しく言葉を交わしたり、お家のようす保育園でのようすを伝え合ったりする姿を子どもたちに直接見せられるからです。子どもは、自分が良き人間関係の真ん中にいると感じたときその小さな胸に大きな安心を育んでいくことでしょう。
自分のいのちを大切にするために、まず眼の前にいる一人一人のいのちを大切にすることを心がけること。子どもと保護者のみなさんとの一期一会に感謝と祝福の一年が始まります。