『 『みんなの気』の童心のつどい 』のお話
理事長 すぎもと かずひさ
月になると恒例の『童心のつどい(3歳以上児表現遊び発表会)』の足音が聞こえてくる。殊に、年長さんは就学を目前に控え、保育園・こども園の教育保育活動の集大成を見せてくれる。
発表の内容は一年間の保育活動から子どもたちが選ぶ。写真や作品を手掛かりに一年を振り返る。印象深い取り組みや出来事について語り合う。自分がどの役をやりたいか、その中でどんな遊びをしようか、ときに主張し、ときに仲間の言葉に耳を傾け、調整を繰り返しながら結論を導き出してゆく。担任は子どもの思いの実現に身を投じてゆく。一人一人の様子を見守りながら、真にやりたいことができているか、チームワークがうまく機能しているか等についての配慮を続けてゆく。役や台詞が決まっても、それは仮の姿として最後まで子どもの希望を受け止め、願いの実現に努めてゆく。この精神がプロセス全体に流れ、自由な雰囲気と躍動感を持続させてゆく。はたして、三室戸・Hana花・黄檗こども園スタイルの発表会=みんなの気がいっぱい集まった『童心のつどい』が少しずつ形として現れゆくのである。
源流をたどる。まずは、情緒の安定である。赤ちゃんの頃から今日に至るまで一人一人の子どもの心持ちを大切にする保育に努めてきた。愛着の形成、基本的信頼の獲得を経て、誰もが生き生きと活動する子どもになることを保護者の皆さんと一緒に願い続けてきた。
つぎに、能動的活動の保障である。個性は天才ゆえに一人一人の興味や関心が異なることが自然である。ここでAちゃんが運動遊びを楽しめますように、ここはBちゃんが絵画遊びを楽しめますように、ここはCちゃんとDちゃんたちがごっこ遊びを楽しめますように、そして、それぞれの遊びが影響し合いながら遊びが発展しますように、と保育環境の構成に子どもの夢を重ねてきた。
遊びは子どもの生きがいである。一つ一つの活動の途上で芽生え膨らみゆく夢がある。その子どもならではの意味性やイメージ、思い、願いを持続的に創造し続けることが幸せに生きる秘訣とは言い過ぎであろうか。
童心に触れ、大人も自らの童心を蘇らせる。童心に息づく人間の本質に気づかされる。素直な心のままで仲間と触れ合う喜び。喜びも悲しみも分かち合い生きてきた子どもたち。決して一人では味わうことのできない所属感、貢献感、満足感が小さな胸に大きく輝いている。笑顔の君がいるところ、笑顔の私がいる、みんなの気のプライドである。