『 みんなからふる れいんぼう 』のお話
理事長 すぎもと かずひさ
「みんなからふる れいんぼう」、今年の運動会テーマである。
「れいんぼう」は水遊びを楽しむ子どものつぶやきから生まれた。春から夏、秋にかけての子どもたちは、花壇や畑の水まき、布・ビニールシートの下にもぐっての色水遊び、プールの水しぶきやホースのシャワーでのトンネル遊び等々を通して、そこかしこに虹を生み、育てる日々であった。そんな水遊びや色遊びが大好きな子どもたちをして、「Rain坊」=「雨粒っ子」の登場と相成る。
「Rain坊」の虹づくりには、色の三要素が欠かせない。
一つは「水から」⇒「自ら」⇒「みずカラー」。いのちの大本の「水」と生きる根本の「自ら⇒主体性⇒意欲」の色である。世界で注目され、乳幼児教育の中心的テーマになっている「非認知的能力」。生きる意欲を抱き、能動的に遊び、学び、自分らしさを愛し、自らの人生を謳歌する。人生は意欲によって磨きがかかる。自らの意思で世界を自分色に描き、染め上げてゆく力である。
一つは、「泡から」⇒「Our
Color」⇒「わたしたちカラー」。「泡遊び」を楽しむ子どもの姿から生まれた。夏の感触遊びでは赤ちゃんから年長さんに至るまで泡の不思議で心地よい感触に親しんできた。シャボン玉に洗濯ごっこ。すごさ、面白さを仲間と一緒に味わってきた。そんな体験を通して、自己実現は一人では叶わないこと。自分一人で利己的に得る喜びよりも、友達と一緒に分かち合う小さな出来事の方がうれしいことを園の遊びや生活を通して体験的に学んできた。その感覚、「共生感」を生涯抱き続けてほしい。
いま一つは、言うまでもなく「子どもカラー」である。子どもは優しい。泣いている友達の顔色を慮るように頭を撫でる1歳児さんの姿になんと心が洗われることか。さらに、子どもは未来を生み出す天才である。思考と行動を直感的に行う。粘土をひねる。魔法のように指先から手のひらから作品が生まれてゆく。遊びはこの力を生涯にわたって支え、育む営みである。
虹は多様性と平和のシンボルであり、その多様性を包摂するところに平和な未来が予見される。誰もが、一人一人の個性を愛し、尊重せずにはいられない「わたし」と「わたしたち」。
子どもは未来の光。光は夢に向かう。みんなの顔色が、特色が虹になってゆく。「おもしろ色」、「美し色」がきらめき、「やさしさ色」が一人、二人、三人とつながってゆく。そんな色とりどりの「れいんぼう」たちのお話。