「みんなの笑顔が初日の出」のお話

「みんなの笑顔が初日の出」のお話

理事長 すぎもと かずひさ

きみの見つめる世界が、手に取るものが、踏みしめる大地が愛しくて、一緒にどこまでも、歩んでゆきたいと思うのです。野に山に川、自然の恵みに包まれて、きみのこころはどんなふうに「散歩」することでしょう。恵みを感じるほどに素敵になってゆく場所。耳を澄ますほどに沁み入る音世界。眼をみはるほどに、果てしない宇宙。視界の先に思いを馳せると、想像する喜びは憧れに転じ、夢を芽吹かせてゆくことでしょう。こころの揺らぎは、しなやかに、柔らかに、形を変えて、いつも、どこにいても感動を運んでくるのです。そんな「豊かなこころ」を育み合いながら、旅する道のりはどんなに愉しいことでしょう。

昨夏、黄檗こども園の隣地約1,500㎡を取得しました。篤志家のご寄付により昭和を思わせるシックな板塀も出来上がり、秋の夢の広場での初披露。木洩れ日の中で食事をする子どもと家族の和やかな姿、緩やかなひとときに、現代における「深呼吸」の大切さを強く感じました。

去る25日には三室戸・Hana花・黄檗の年長児が一堂に会し、オープニングセレモニーを実施しました。クリスマスに因んでオリジナルのクリスマスソングの合唱、テープカット、柚子ジュースでの乾杯を経て初遊びする子どもたちはなんと樹木の似合うことでしょう。この地は、黄檗こども園はもとより法人全体での活用と、さらには地域の方々にも利用していただこうと考えています。今後は、この8月を目途に、園舎の増築も計画しています。

また、笠取自然体験の家では、「里山の風情をそのままに保存したい」という近隣の方の要請もあり、従来の敷地周辺の宅地、雑種地、山林約20,000㎡(ほとんどが山林)を取得しました。これにより、古民家や蔵のある裏山一体が遊び場所として活用できるようになりました。そこでは、今まで以上に園庭ではできない自然体験やダイナミックな活動が実現することでしょう。

30余年前、園庭の穴掘りから始まった「子どもの児環(にわ)構想」。「子どもの児環構想」は、より良い保育環境を子どもたちへ具現化する活動です。「身体は農夫であれ、頭は哲学者であれ」を合言葉につるはしで園庭を凸凹にしたあの日。保育教材も音楽も誕生カードも手作りにこだわり続けた道の真ん中には、いつも子どもたちの笑顔がありました。より良い保育環境を創り拓き続ける保育者の背中を子どもたちが昇ってゆきます。背中から頭へ、頭から肩車へ。みんなの笑顔が初日の出。

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