『 豊かな原体験のプレゼント 』のお話
理事長 すぎもと かずひさ
感謝と祝福、大好きな言葉です。一人一人の子どもさんと保護者さんとの出会い、一期一会を大切にかみしめてゆきたいと思います。弊法人の理念は「いのちを大切にすること」。この理念に基づいて教育・保育の実践に精一杯、邁進してゆきたいと考えています。
第一は、子どもさんの安全です。コップ一杯の水で溺死する、プチトマトやリュックサック、ヨットパーカーのひもで窒息死するなどの事故例に学び、安全の確保に努めます。また、運動遊具や布団にマット、様々な形状の玩具、鋏など、素材や道具などの環境を用意する度に、リスク要因についての検証を行い、誤飲やけがなどの事故防止に努めます。
第二は、情緒の安定です。一人一人の子どもさんの姿や状況をありのままに受け止め、温かに、しなやかに関わりを深めてゆきます。保育の専門性は子どもと共に歩む「同行性」にあり、「子どもと保育者」または「子どもと子ども」の関係性を発達させてゆくところにあります。愛着や基本的な人間信頼を人生の土台に「人間が大好き」と感じる子どもに育つよう努めます。
第三は、個性の尊重です。子どもは誰もが「天才」と呼ぶにふさわしい無限の可能性を持っています。また、それぞれのご家庭には大切にされている家訓や育児方針、様々な生活スタイルがあることでしょう。ゆえに、人はそれぞれに違い、違いがあるからこそ出会いは素晴らしく、それらを結集することでさらに豊かな生活や遊びが生まれてゆきます。「この園で本当に良かった」と感じる心が育まれるよう豊かな人間社会を構成し創りゆくかけがえのない「ひとり」を愛し、たたえ合い、認め合う「わたしたち」のあり方を探究します。
第四は、能動的な活動の保障です。子どもは、自分の興味や関心、好奇心に基づいて活動するとき、生き生きとそのいのちを輝かせ、自然に意欲を高めてゆきます。自己を発揮することにより充実してゆく子どもごころに留意し、子どもの姿や意志、願いが今日から明日へとつながるよう教育・保育の内容や環境構成の充実に努めます。
最後に、豊かな生活へのこだわりです。衣食住のプロセスを味わい、ものの成り立ちを理解し、やがて衣服や食材・食事、住処などをつくってゆきます。自らの生活に関わり、創り、背負うライフスタイルこそはいかなる時代にあっても通用するに違いありません。人工知能との共生時代を生きる子どもたちへ「豊かな原体験のプレゼント」です。