「こだまや こどもっくる」のお話

「こだまや こどもっくる」のお話

理事長 すぎもと かずひさ

世界をくるくる回る子どもたち。小さな身体に溢れんばかりの好奇心を光らせ、あっちへこっちへくるくる、遊び回ります。やってみたいことを積み重ねていくうちに、自然に芽生えてくる活動意欲や主体性。いつでもどこでも、新鮮な感性で眼の前の現象を感受し、思いつきやひらめきを表現し合っているうちに、豊かな情操が耕されていきます。

「世界をつくる」、「仲間をつくる」、「自分をつくる」プロセスに子どもの思いや願いがこだまのように広がっていきます。そんな子どもたちの姿に因んで「こだまや こどもっくる」という今年の運動会テーマは誕生しました。

 ところで、私達大人はなぜ子どもに関わり続けるのでしょう。絵本を見るたびに、作者がどれほどの時間とエネルギーを注ぎ込んで絵を描き、構図や構成を編み出していったのか、その情熱に驚かされます。また、物語のテーマに込められた作者の子どもへの思いに人としての美しさを感じずにはいられません。絵本を手にした子どもの笑顔を思い浮かべ、ページをめくるごとに高まっていく心臓の鼓動を想像し、作品を仕上げていく姿には胸を打たれるばかりです。

このように、子どものためにつくられた環境を見渡してみると、公園の遊具や娯楽施設の数々、玩具や教材、料理、音楽、映像等々、子どもを思う大人たちによってつくられるものやことの何と豊富なことでしょう。誰もが持っている自分の中の「子ども」に語り掛け、赤ちゃんの頃からの記憶を蘇らせてつくり続けては今に実現させていく。その土台の上に、また、新たな創造が生まれていきます。

園庭の土や、花や木々、ダンゴムシやカブトムシ等の生き物に触れ、親しんできた春から夏の教育・保育活動は自然の恵みと一人一人の子どもの創造に満ちていました。花弁や葉は土でつくる顔やご飯を特別に仕立てる子どもの宝物です。自分たちを興奮させてくれる虫たちには家をつくりました。子どもの遊びは創造の連続です。

保育者もつくり続けてきました。0,1,2歳児の担任は、子どもの様子と対話しながら、段ボールや遊具等で空間をつくり、手づくり楽器や視覚にも愉しい色や光等の手づくり教材を投入・構成する毎日です。3,4,5歳児の担任は、子どものやってみたい、なりたい等の願いを収集し、その実現に向けてつくり続ける子どものそばで見守り、ときに共同して遊びをつくり続けてきました。

キーワードは「つ・く・る」。「こども・っ・く・る」たちのヤッホーが今日もこだましています。

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