『 師走のステージを賑わすこどもたち 』のお話

『 師走のステージを賑わすこどもたち 』のお話

理事長 すぎもと かずひさ

こどもたちは何を持ってもよく似合う。持っているものの一つ一つが、彼ら、彼女たちの眼や気持ちに叶ったものだからだろう。焼き芋用に集めてきた落ち葉も彼らが持つとなんとも愛らしく見える。喜ぶ顔と手、全身の表情が響き合い、その波動がこちらに伝わってくる。喜びの見せ合いっこ仲間が、思い思いについたり離れたり予期せぬ行為がいっぱいの保育の場。自分の意図にかかわらず、風や枝は木の葉を舞い踊らせるし、友が踏む枯れ葉のカサカサ音に身体が愉快に動いちゃう。

穴の空いた葉をお面さながらに近づいてきた2歳児クラスのAちゃんがなぜか笑い転げている。うらやましくなったBちゃんもふと沸いてきた願いのままにお気に入りの葉っぱを探し出す。キョロキョロのうちにいい具合のやつをついに発見。小躍りしてる。踊っていることなど気づいちゃいない。穴から覗く視界の狭さ、見え難さに四苦八苦しているか思えば、次第に適当な位置、大きさの穴にしていく術に気がついて、その過程をも楽しむ風情である。見せたい相手を探してトコトコトコ・・・。

「起っちゃう・であっちゃう・みつけちゃう・やっちゃう・混ざっちゃう・なっちゃう」の世界にどんどん吸い込まれては、体験を纏っていくこどもたち。朝目覚めたとき、こんなことになるとは、するとは思ってもみなかった現在がどんどんやってくる。この体験、感覚が格別に美味しいのだ。焦点から笑点、そして衝天へ。生きている充溢感が、こどもたちの全身を貫き世界に溶けて駆け回っていく。

勤労感謝の日。こんなこどもの思い、体験が積もり積もったプレゼントが幼児クラスの保護者さんへ届けられた。活動に取り掛かる前の10月下旬。それぞれの担任が担当クラスのこどもになって試作品をつくってくる。当初、「小物入れ」「ペン立て」「写真立て」などの名称を告げながらプレゼンテーションする保育者に「いいか、保護者さんはな、こどもが生きるさながらに、ときに思いを込め、触り、かかわって眼の前に現われたものはどんなものでも嬉しいもんやねん。そやし制作したものの名前がころころ変わっても、後付けであろうが全然かまへんねんで。それよりも楽しんで、かかわり、つくっているか、よく見守っててな。」とその価値についてアドバイスしたのだった。

リサイクル素材で作ったマイクの部材、組み合わせ、形がみんな違う。それでも歓びを一にしている。こどもたちの歌声、パフォーマンスが師走のステージを賑わす光と影。友と歌った木製みかん箱の思い出が蘇る最高のステージだ。