「ちがいを尊び、手間を讃えあう、みんなのきの保育」のお話

「ちがいを尊び、手間を讃えあう、みんなのきの保育」のお話

理事長 すぎもと かずひさ

卒園式で保護者さんからいただいた嬉しいメッセージの数々。入園当初の思い出、子どもにも親にもあった分離不安が懐かしく思えるほど子どもたち一人一人が大きく成長したこと。子育てや保育の営みは親や保育者を教育する歴史であったこと。それらの情熱的な体験を分かち合った仲間どうしが子どもをまんなかにかけがえのないご縁に恵まれ今後の絆をも誓いあったこと。子どもたちは豊かな人間関係の追い風に乗って希望の人生を展望し、どこまでも大きく夢をふくらませてゆくことでしょう。

入園・進級のときを迎え、みんなのきの各園では、新たなお友達と保護者のみなさんが仲間として素晴らしいご縁を結んでくださることになりました。こころから歓待いたします。みんなのきの保育理念は「生命を大切にすること」です。一人一人の子どもさんが「生き生きとする」ことを最優先し、あたたかく、ゆったり、じっくりと各々の特性、生命リズム、諸状況等々に感応しつつ、感動と創造の喜びに満ちた子どもさながらの保育を子どもさんと共に創っていきます。

乳児保育では、授乳や排せつのプロセスの一つ一つに愛情を込めていきます。安心して入眠し、心地よい目覚めとなるよう子守歌の歌いかけや一人一人に応じた適切なスキンシップを工夫していきます。また、お名前を呼ばせていただくときは人権を尊重する観点と親しみを醸成する観点から、ご家庭と同じ愛称で呼ばせていただくようにします。子どもさんが一日でも早く小さな胸に大きな安心を宿し、外に向かって好奇心の自由を思いのままに発揮すること、自ずから遊び始め、深めていくことができますよう、かかわりや保育環境の構成等々への試行錯誤を楽しんでいきます。

幼児の保育では、子どもさんはこれまで以上にまわりの状況や関係などを認知し、成長の喜びと裏腹に成長にともなう心配や不安をも体験していきます。やってみたいことには失敗への不安がつきものです。友達関係が広がり、深まる過程においては日常的にさまざまな摩擦を体験していきます。涙することもしばしばです。それでも、喜びの方へ眼を転じると一緒に育ちあう仲間どうしならではの、数えきれないほどの感動体験が待っています。それらの体験の一つ一つをいかに喜びとしてしなやかに受けとめ、豊かな価値として身につけていくかは身近な大人の腕の見せ所です。子どもが生来持っている回復力の高い、弾力のあるこころとからだ、さらにはあらゆる生きているものどうしへの愛情と関係性をも味方に含み込みながら、ちがいを尊び、手間を讃えあう、みんなのきの保育、乳幼児期の充実に心を尽くしていきたいと思います。

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