『 夢の箱舟お茶の子さんちゃん丸の運動会 』のお話
理事長 すぎもと かずひさ
「お~い!さんちゃん丸が出るぞ~!!」花びらのような唇から掛け声の輪が広がって、躍動の輪が広がって、いよいよ夢の箱舟「さんちゃん丸」が出航、運動会の始まりです。
眼前の子どもたちは、厳しい少子超高齢化時代の荒波を生きる当事者です。ところがその意識のないままに暮らす大人たちは少なくありません。そこで、子どもたちは未来の夢がいっぱい詰まった箱舟をつくることにしました。
箱舟に誰を、何を乗せるかあそびを通して明らかになってきました。子どもの言葉は思いつくままを語ります。意識の深浅のままに語ります。大切な順に語ります。乗せてもらえるかしら、まわりはどきどきです。
それでは、子どもの証明を受けた「乗船切符」を発券します。
子どもたちが真っ先に語ったのは家族とともだちの名前でした。当然のことかも知れませんが涙が出ます。名前と共に人々の個性や特徴を語り、描き、つくり、箱舟に乗せる準備を進めます。さらに、キッチンやベッド、プール等々、大好きな人たちと衣食住を共にしたり、楽しいひとときを過ごしたりする夢を描き、必要なものを積み込んでいきます。如何に家族や仲間が大切な存在であるか、さらに「公園へ行く」「買い物へ行く」「電車に乗る」といったささやかとも思われる経験の一つ一つが如何に尊いか、あそびに活かされていく度に感動を覚えます。
さて、そんな子どもたちの箱舟へ風を送りたいと思います。
まずは、些細なことで揺れる子ども心へ安心の風です。泣いても怒ってもいじけてもどんな姿もおおらかに見守るまわりの笑顔は幼心に安心を宿らせます。
つぎに感謝と喜びの風です。生まれてから今日に至るまでの経験の一つ一つは子どもにとっても大人にとっても感動に満ちた体験であったことでしょう、その成り立ちに思いを馳せると苦労ほど喜びに転じ、無駄な時間の存在しないことが理解できます。すべての経験を学びと恵みの機会と捉えるプラス思考の風が吹いてきます。失敗を活かし糧にする精神が育まれるに違いありません。
さらに人間関係の風です。子どもの成長になくてはならない仲間の存在。すべての大人が一人一人の子どもの一挙一動に拍手を送る姿は人間の究極の在り方、幸せのかたちといっても過言ではないでしょう。父母、祖父母、身近な人と育んできたすべてのこと、素敵な人間関係の追い風にのって共に行く「夢の箱舟さんちゃん丸」の人生行路に拍手の風が吹く未来。