「いない いない ば~なな~!!」のおはなし
園長: すぎもと かずひさ
「あ カッパランや!」「えんちょ~」とこどもたちがやってくる。喜びこもったその声にわたしのいたずら心が顔を出す。心とうらはらに両手でとっさに顔を隠し「カッパランなんて、いいひんでぇ~」とうそぶくわたしは、わくわくしながら、彼らのつぎの言動を待つ。
「いるやん!」「いるわ!」と期待通りのことばが期待以上の声音で聞こえると、手のひらの下のわたしは、いよいよ恵比須顔、神に通ずる童心にふれ、七福神に早変わりする。これぞ、こどもらと遊ぶ醍醐味やぁ~、今、こども以上に「いない いない ばぁ」の面白さを味わっているかも~。いたずら心は、もう、どうにもとまらない、と、リンダじゃなくても困っちゃう!!
わたし:「ちゃうわ、いいひん」 こども:「い~る!」 わたし:「なんでぇ、なんにも、みえへんでぇ」 こども:「み・え・て・る」「からだがみえてんもーん」 こどもだかりがにぎわってくる。 わたし:「へ~っ、うそや!みえへんはずや!!」 こども:「ここにいるやん!」 これが証拠と言わんばかりに、 ほとんど自由にわたしのからだを触りだす。 わたし:「いいひん!」「いいひん!」 「いいひん!」 頑張るわたし。 こども:「いる!」「いる!」「い る!」・・・・・ わたしの声をかき消す声の渦、数では負けるわ~。
こんなやり取りが頂点に差しかかった瞬間、「ばぁ~!出たぁ~!!」とお化けさながらに顔を出す。
きゃっ きゃっ 笑いながら逃げ惑うこどもたちと追いかけるわたし。こんなこどもたちとのやり取りが随所に湧き出ては、紡がれていく保育の物語。追いかけっこやかくれんぼなどのさまざまな遊びの起源も、こんなかな?と心の解け合う光景を思い浮かべてうれしくなる。物質的な価値を超えて心豊かに謳歌するこども心。創造することを意識せず、創造へと導くこども心。幸せの原点である。このこども心を共にたっぷりと育み合うことが、学校教育と一線を画す幼児期最大の目的のひとつである。
さてさて、今年度のHana花保育園の運動会テーマは「いない いない ば~なな~!!」命名は中尾舞子、うら若き保育士もオヤジギャグ!オヤジギャグはこども心と同じく意味不明を音で楽しむ世界である。ダジャレ健在にほんまもんオヤジもほくそ笑む。こどもの代弁者よろしく、こどもたちのあれこれに思いを馳せる保育士のいとおかし・・・。