♪ハンドパワーのお話
園長: すぎもと かずひさ
「たかい たか~い」をするとおなかが見える。誕生会の最前列に陣取った2歳児さんの目線からは「見える」というより「飛び出す」感じ?そういえばこの間「飛び出す絵本・仕掛け絵本の魅力」についてテレビでやってたな~。「飛び出すおなか」はあまりにキュート。触りたくなる気持ちもわかるよ、うん。 誕生会で子どもたちを「たかい たか~い」するたびにペタペタこそばい(くすぐったい)子どもたちの手がわたしのおなかを触る。あまりに呼吸がピッタリすぎて、まるで熟年者による餅つきの合いの手のようだ。タイミングの取り方、おなかへの集中力がすごすぎるで。 「たかい たか~い」がうれしい子もいれば、恥ずかしい子もいる。一人ひとりの「たかい たか~い」の経験が垣間見える瞬間である。もっとの刺激を求めて肩の上に立ち上がる子には揺らしやひねりをサービスする。体をこわばらせ怖がる子には徐々に高さを加えたり、抱える手のタッチをやわらかにしたりしながら高さへの恐怖感克服の一歩になるよう心がける。わたしとの接触を喜ぶ子もいれば、おっかなびっくりの子もいる。子どもたちとのふれあいの質と量を反省する瞬間である。 「子どもたちの心に感謝の気持ちを育む」をテーマに実践研究をしたときのことである。その際、まずは大人である保育者自身が子どものたち一人ひとりの存在への感謝を伝えるということで、毎朝の出欠確認のときに名前を呼ぶだけでなく、頭を撫でるなどのスキンシップを加えることにした。すると、当たり前のことではあるが、みるみる一人ひとりの表情が明るく変わっていったのである。 子どもの手とわたしの手。手は心のきずな、手はスキンシップの原点である。一瞬の自分の気持ちを相手の感覚に伝える。「手伝う」「手当て」「手加減」手にまつわる言葉の持つ優しさがうれしい。これが本当のハンドパワー、なーんてね。