「空に向かって ありがとう」のお話

「空に向かって ありがとう」のお話

理事長  すぎもと かずひさ

「童心の四季」がめぐり春。年長さんはいよいよ卒園ですね。乳児クラスのおともだちも幼児クラスのおともだちもみんな大きくなりました。園の生活は楽しかったでしょうか。

大切にしてきたことは、一人一人の子どもたちがそのさながらに「生き生きとした園生活を送ること」です。「生き生き」というとなにか活発に身体をつかって動きまわる「動的な生き生き」をイメージしがちですが、集中してものをつくったり絵を描いたりなどの「静的な生き生き」やぼんやり空を眺めたり、ごろんと床に寝そべったりなどの「休息的な生き生き」もあります。

「ちがう」ことが自然な一人一人の子どもが自身の生命リズムでこころと身体をひびかせあい結ばれるところに森の木々が芽吹くような子どもの「生き生き」がわきだしてきます。「ちがう」ことがわかる仲間やわかって受けとめてくれる大人の存在が「子どもが生き生きとする」育ちの土壌になっていきます。そんな関係をあたためあってきました。

そして、たくさん遊びました。みんなのきの保育の神髄は「つくること」です。まわりのものを生きているように感受する子どもたちは遊びの対象にも生命を宿らせていきます。手に取った木の葉も段ボールのカブトムシもみんな生きているともだちです。そんな子どもごころで遊びの世界を見るとなんと多くの生命が躍動していることでしょう。

大人の目からはわからないもの(霊)たちに言葉を超えた意味や価値が存在します。子どもたちの呼吸があります。鼓動を感じます。自分たちがつくり、遊んだ足跡は「(自分たちの)生命を(園)生活へ」浸透していく営みです。にぎやかな遊びの跡は「生き生きと遊んだ子どもの生命」の集積です。「子ども遺産」ともいうべき遊びの姿跡が、いつもここに「存在」することで、誰もがいつでもどこからでも自由に遊びはじめることができる包容力のある環境が実現します。

「生きることはつくること」「つくることは生きるよろこび」と営んできた保育のプロセスでは「人間を超えた生命」との数々の出会いがありました。虫や植物、天気との対話がありました。藍染では微生物との共生を通して、見えない世界に生きているものたちが暮らしていることを知りました。その協力があって素敵な藍のTシャツができましたね。

先生たちは、みんながいてくれて最高に楽しかったです。ありがとう、そして、おめでとう。これからも「みんなの生き生き」と「地球の生き生き」がひびき、まざり、元気がわきだしますように。空に向かって、「ありがとう~!!」

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