「アニミズムのオーラ」のお話
理事長 すぎもと かずひさ
『生きているものどうしの想像力――アニミズムがひらく生命の保育・教育』。今年度、日本保育学会保育学文献賞を受賞された、山本一成さん(滋賀大学教育学部准教授)の著書のタイトルです。
みんなのきでフィールドワークされた事例も取り上げていただき、私たちの保育の日々がこのようなかたちで学問の世界と響き合えたことを、何にもまして嬉しく、ありがたく思っています。全国私立保育連盟の月刊誌に書かせていただいた書評の一部を、以下に紹介します。少し難しい言葉ですが、子どもの姿を思い浮かべると、とても身近な世界です。
「アニミズム」という原初的であるがゆえに普遍的な新しさを秘めた世界観。すべての存在が生命をもち、響き合い、関係しながら生きているという、「子どもがさながらにわきだたせている感受性」です。この視座から見つめ直された保育と教育は、子どもの生活や遊びの実相がもともと持っている、いのちのひらきに応答するあり方です。虫や風、花や石、そして子どもたちが交わす無数の関係性。そのひとつひとつが、世界の深層を生きる想像力=〈Co-Living Imagination〉として描かれます。想像力とは、単に思い浮かべる力ではありません。他者とともに「ある」ことを肯う、共生的な感性そのものです。
この思想は、UNESCOが2050年の教育の役割として示した「私たちが他者や生き物、地球とのつながりの中で生きていることを実感する出会いの創出」というビジョンとも響き合っています。山本氏はそのような国際的視座にも触れながら、虫や花との出会い、命の誕生や死の体験を通じて、子どもたちがいのちとの関係を生きていることを語ります。こうした感受性は「能力のジレンマ」を超え、教育の未来においても根幹に位置づけられるべきものです。
「オギャア~」と生まれたそのときから、子どものまわりには「モノ」があります。以来、一瞬一生という時間の伸び縮みのなかで、子どもたちはさまざまな世界と出会い、かかわりながら生きていきます。世界とは、「モノたち」の寄り合いです。くっついたり、離れたり、響き合ったりしながら、はてしない生命運動を続けています。そのあいだで、私たちもまた「ヒト種の一員」として、「地球のなかま」として生まれてきました。
子どもが木に手を振っているとき、その子は木霊と話しています。風に葉が舞い踊り、応えてくれます。風の歌に誘われて、子どもたちも歌いだします。口笛になりそうでならない、かすれた音のハーモニー。傍らには、昨日名付けた石がふかふかのタオルにくるまれて、誰かのスキンシップを待っています。